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「社会を変える」を仕事にする―社会起業家という生き方(英治出版)
ITベンチャー経営者。それが著者・駒崎弘樹の学生時代の肩書きだった。
NPOの道を選び、東京の下町で「病児保育サービス」を始動。
「僕のような門外漢のド素人によって東京の下町で始まったモデルが、政策化され、似たような事業が全国に広がっていったのだ。〈社会を変える〉ことは絵空事ではないはずだ。」
〈社会を変える〉を仕事にできる時代を、僕たちは迎えている。
駒崎さんにとってのワークライフバランスとは
- 高橋:
- ところで、駒崎さんご自身にとってのワークライフバランスとはどんなものでしょうか。
- 駒崎:
-
以前僕はまさにザ・ベンチャー起業家でした。
起きている時間の95%はラップトップコンピューター(※注③)と睨めっこしているような生活でしたが、最近は定時退社経営者です。 - 高橋:
- それは何かきっかけだったのですか。
- 駒崎:
-
はい、ある日うちの女子社員が突然辞めると言い出したことがありました。
理由を聞くと「帰りが遅くなって家の仕事ができなくなってしまうから」と。さらに詳しく聞くと、
旦那さんから「仕事よりも家での仕事をちゃんとして欲しい」と言われたそうで。彼女は責任を感じそれをする為に辞めたいと言ってきたのです。
その話を聞いて僕は「君も働いてお金稼いでいるのだから、家の仕事は君も旦那さんも二人ですればいいことなのではないの」と提案しましたが、
彼女は「自分が旦那さんに食べさせてもらっているから」と申し訳なさそうに言うのです。 - 高橋:
- ・・・女性の中には少なからずそう思ってしまう方っていますよね。
- 駒崎:
- 最初は戸惑いましたが、果たして自分自身ははどうなのか・・・と。
- 高橋:
- (笑)95%ラップトップ君ですものね。
- 駒崎:
-
そうです。僕も結婚したらこの彼女の旦那さんと同じようにならない保証はないな・・・と。
まずは、自分が「よしっ変わろうっ!」と決意し今に至るわけです。 - 高橋:
-
そうですか。その気持ち私にも分かる気がします。以前は私も家庭ごとを仕事場に持ち込むのを一切受け付けない派でしたが、
ベアーズを立ち上げたときにちょっと待って・・・に私もなりました。
お客様のご家庭の幸せを願ってサービスを提供するチームベアーズが人間らしくなかったら いいサービスの提供はできないと思ったんです。
設立当時はワークライフバランスなんていう言葉がなかったのですが、私も駒崎さんと同じです。 自分が態度で示していかなければと思い実行しています。
お陰でうちの子供たちが会社に出入りするのが日常の会社風景になりました。それがまた社員にも影響があり、社員の子どもの顔や声を聞く機会が会社でも増え、うれしいです。 - 駒崎:
- いいですね。僕に気づきを与えてくれたその社員夫婦にはとても大変感謝しています。
家事分担で大切なこと ~『互いを尊重する』~
- 高橋:
- それで、定時退社後は何をされているのですか。
- 駒崎:
-
家に帰って家事です。僕は自称片付け大臣ですから。
Myテプラで棚の整理をしたりしています。うちの奥さんはあまり片付けが得意ではないみたいなので、 僕が担当になり「俺に任せてくれ!」と胸を張ってやってます。 - 高橋:
- 今、奥さんとありましたが・・・・。
- 駒崎:
- そうなんです。5月末に結婚式を挙げます(照笑)。
- 高橋:
- それはおめでとうございます!
- 駒崎:
- うちでは家事を分担しています。彼女がおいしいご飯を作ってくれるので、僕が片付けをして家の環境整備を担当してます。
- 高橋:
- 素敵ですね!駒崎さんはご自宅の環境整備大臣なんですね。
- 駒崎:
-
そうです。日々改善の繰り返しで、まるでトヨタさんの改善方式のようです。
部屋の動線を考えての家具の配置するなど、だいぶ自分ののこだわりが出てきまして・・・。 - 高橋:
- うまく家庭内で家事分担ができていますね。奥様にはたくさん褒められているのでしょうか。
- 駒崎:
-
そうですね。彼女は褒め上手かもしれないです。それと、男としての権限維持もあるのではないでしょうか。
仕事でもそうですが、フラグラメント(※注④)で与えられると僕たち男はやる気がなくなってしまうと思うのです。
だから仕事をくれるときに「あなたに任せたわ」みたいな事を言われ権限を与えてもらえると、僕のテリトリーと思って担当できるのです。 - 高橋:
- こういう話題っていいですね。私たち女性にとって大変参考になります。
- 駒崎:
-
僕らの世代ではそういう事がスタンダードになってくると思っています。
むしろ奥さんを家に居させることが好きな男の人には同姓ながらイエローカードを出したいです。
時には過激なギャク表現にしてまでもどんどん伝えていきたいですね。社会に奥さんが出ることは彼女の自己実現でもありますし。
働きたい女性にちゃんと働かせてあげるのは当然ですから。また、別に働くだけが女性の自己実現だけではないとも思います。 勉強している奥さんのサポートでも立派な自己実現の支援だと思います。
僕たちの30歳以下の男性はそういう考えを持っていかなければ・・・と考えますね。 - 高橋:
- なるほど。まずはお互いを尊重しあって高めあうという関係ですね。
- 駒崎:
-
そう、どちらかというと自分も楽しんでその関係をコミット(※注⑤)する。
家のことは君の仕事ではなくて僕らの仕事なんだと。そういう風にみんなでなっていきたいですね。 - 高橋:
- 駒崎さんご自身として50歳になったらどんな男性になっていたいですか?
- 駒崎:
- 愛妻弁当を喜んで食べている、カッコかわいいオジサンになっていたいですね。
- 高橋:
- なるほど!奥さまうれしいでしょうね。
駒崎さんのハッピーバランス ~『仕事も家庭も自由な発想で』~
- 高橋:
- ハッピーバランス“HappyBalance”という私が大好きな言葉がありますが、 駒崎さんのハッピーバランスの秘訣はなんでしょうか。
- 駒崎:
- 仕事も家庭も自己実現も僕らはもっと自由な発想であっていいのだと、それらを自然体ですることが僕のハッピーバランスの秘訣ですね。
- 高橋:
- 駒崎さんの座右の銘を教えてください。
- 駒崎:
-
ガンジーの言葉なんですが
「あなたが見たい変革にあなた自身がなりなさい」ということです。
今後の展望
- 高橋:
- それでは、最後に今後の展望などをお聞かせ下さい。
- 駒崎:
-
病児保育が当たり前の世の中にしていくために、コンサルティングも含めて全国に私のノウハウの種を蒔いていきたいと思います。
私と同世代の20、30代の人たちが家庭や地域、あるいは社会的・公的なものを大切にするワークライフバランスの実践ができるよう、 働き方の革命を提唱していきたいですね。
その為に、まずは自分自身がロールモデルになっていきたいと思います。 - 高橋:
- ありがとうございました。
| 注③: | ラップトップコンピューター=英語でlaptop(膝の上)。 |
| 注④: | 英語でfragrament(破片、ひとかけら)。 |
| 注⑤: | コミット=約束。 |
≪対談を終えて≫
対談中、駒崎さんの「やらなきゃいかんっ!」の使命感をずっと感じていた気がします。
私たちのライフスタイルが多様になればなるほどに、夫婦や家族の在り方が何通りにもなります。
その中で変わらないものは子育て。こどもが風邪をひいたり熱を出したりするのは日常茶飯事。そんな時にすぐ利用できる病児保育支援があったらどんなに心強いでしょうか。
社会にない仕組みならば、自分たち自身がそれを作り社会のロールモデルになるという駒崎さんの姿勢はまさにご自身の座右の銘のフレーズがぴったりのようでした。
今回のフローレンスさんとベアーズとが業務提携することが子育ての支援体制の変革の一つになれるよう、共に歩み“母たちの笑顔と子供たちの健やかな成長”を応援していきましょう!
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