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ワークライフバランスインタビュー

ワークライフバランスインタビュー

安藤 哲也さん

「父親であることを楽しもう!」

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NPO法人ファザーリング・ジャパン 代表理事
安藤 哲也さん

Profile

安藤 哲也 / NPO法人ファザーリング・ジャパン 代表理事

出版社、書店、IT企業など9回の転職を経て、2006年に父親支援のNPO法人ファザーリング・ジャパンを設立。「パパ’s絵本プロジェクト」メンバー。子育て応援とうきょう会議実行委員。
著書に『本屋はサイコー!』(新潮OH!文庫)、 『パパの極意~仕事も育児も楽しむ生き方』(NHK生活人新書)がある。

第8回ワークライフバランスインタビュー“ハッピーバランス”
『父親であることを楽しもう!!』

『パパ’s 絵本プロジェクト』『パパ検定』などファザーリング・ジャパンの代表理事として、自らも楽しみながら父親であることを楽しめる社会の創造を進めている安藤哲也さん。
『ファザーリング』とは「父親であることを楽しむ生き方」。
安藤さんからカッコいい父親、そしてそうなるためのアドバイスをたくさん盛り込んだ内容となっています。

パパの極意―仕事も育児も楽しむ生き方 (生活人新書 248)

パパの極意―仕事も育児も楽しむ生き方 (生活人新書 248)

「育児を、仕事を、人生を、笑って楽しむ父親を増やしたい」。町の本屋さんからIT企業まで、数々の企業で働きながら子育てをして10年。父親支援の NPOを立ち上げるほどにハマった育児の醍醐味とは? 子どもたちの明るい未来のために今、求められる父親像とは? 仕事も家庭も地域活動もあきらめないで幸せな毎日を送る秘訣は? 著者が体当たりでつかみ取った、パパの極意がここにある。

ファザーリング・ジャパン立ち上げのきっかけ・前編 - 『育児=育自』

高橋
本日はお時間を頂戴しましてありがとうございます。
父親であることを楽しめる社会を目指し、ファザーリング・ジャパンの代表理事として活動されている安藤さんですが、立ち上げのきっかけは何だったのでしょうか。
安藤
僕自身11年前に父親になったのですが、父親になることは、自分をいろんな意味で成長させてくれるまたとない契機になるという予感がしていました。そこで父親であることを主体的に楽しめるように自分の生活や気持ちのカスタマイズを強引にやってみたんです。
具体的には、まず自宅と保育園と職場を自転車15分圏内にしました。引越すという発想が普通ですが、僕の場合はそこに職場を作ってしまった。
保育園から子供が熱出したって呼び出されると、ママの職場より僕の職場のほうが断然近いから、すぐ迎えに病院へ行って、大したことが無ければ子供をおぶってレジに立ったり、バックヤードでおむつかえてたり。アルバイトの学生にも、お前も将来のためにやっておいたほうがいいぞ、なんて言って手伝わせてました(笑)。
高橋
(笑)でもやってみると難しいものですよね。
安藤
ええ、最初は手探りでしたので様々な不安がありましたが、次第に理解し身体もついてきて、育児を楽しめるようになってきました。
育児の世界で出会った人たちとネットワークできたり、色々な意味で世界が広がったことを自覚します。それはやはり子供が僕に気づきを与え、成長させてくれたんだなと、思いますね。
『育児を通して育自』。子育てを主体的にすることは、大事なことに気づいたり、自分自身が成長することにも繋がるのです。世の若いパパたちも、そんな体験をしてほしいと思いますね。

ファザーリング・ジャパン立ち上げのきっかけ・後編 - 『パパ’s絵本プロジェクト』

安藤
ファザーリング・ジャパンを立ち上げる5年前から絵本の読み聞かせの活動『パパ’s絵本プロジェクト』を始めていました。絵本を通して、よその子たちと触れ合いつつ、その子の親たちもと知り合えるイベントを定期的に行うものです。
絵本にハマったきっかけは、長女の出産です。妻が長女を身篭った際、僕は男兄弟しかいなかったこともあり母親のように本能で娘とコミュニケーションできる気がせず、何かコミュニケーションツールがないとな・・・と考えていたところ、書店を経営していたこともあり、絵本があることに気が付きました。それで生まれる前から100冊ほど買って娘の誕生を待っていたんですよ。
高橋
100冊!そこからいわゆる“普通のお父さん”じゃない気がしますが、そうやって待ってもらえると奥様もお子様も嬉しいことでしょう。
安藤
絵本で言葉を早く覚えてほしい、優しい子になってほしい、など具体的な効果を期待していたのではなく、絵本は純粋に僕と子供を繋ぐものになるという予感があっただけです。実際、生まれてお座りできるようになってから読み始めて、小学校一年生の終わりまで、ほぼ毎晩2冊ずつ欠かさず読みました。仕事が忙しいときは一回家に帰り、絵本読み聞かせて寝かしつけてから、会社へ戻って朝まで仕事、ということもありましたね。
そんなときでも、仕事が忙しくて子育てができないとか、一方を諦めて一方をとるという発想はありませんでした。仕事は楽しい、でも3歳の娘の表情や言葉は今しか見られないものだと思っていましたので、どちらも諦めずに全力投球でした。
仕事との両立で大変なときもありましたが、結果7年間で読み聞かせた絵本の数は延べ6000冊ぐらいになりました。この楽しい思い出の数々は、僕と娘の心のハードディスクにしっかり刻まれているし、読んだ量が娘との絆の太さに比例しているのは実感します。
僕が『男の育児は、質より量を目指そう』と常々言う理由はそこにあって、日ごろの泥臭い育児からこそ見えてくるものがあり、また、その苦労に見合ったものが必ず戻ってきます。絵本はそんな感動を与えてくれる家庭内コンテンツのひとつなんです。
絵本は母親が読むもの、というイメージが日本ではまだ強いですが、絵本によっては父親が読んだ方が面白いものはたくさんあります。また子供だけでなく、大人にとっても絵本は生きるヒントになったりするのです。だから臆せずチャレンジすれば、きっと男性でも絵本にハマる人は多いんじゃないかな?
高橋
今でもその絵本を使ってパパ’s絵本プロジェクトで読み聞かせを行ってらっしゃるのですか。
安藤
ええ、そうです。
自分の子供と楽しんだものを主に使っています。自分が好きな絵本を読むのが楽しいし、お話し会で出会う子供たちも僕らがリラックスして読む姿を見て、すぐ仲良くなってくれるんですよ。
高橋
楽しそうな雰囲気が想像できます。付添いのお父さんたちも楽しんでますか?
安藤
最近はずいぶん積極的になりましたが、来る父親の中にはイベントの最中に寝てたり、お母さんに無理やり行かされたって顔をしていたり・・・楽しめない方々はまだ少なからずいます。
そう、パパ’s絵本プロジェクトの活動の中で、ファザーリング・ジャパンのヒントは生まれたのです。それはどういうことかと言うと、僕らが読む絵本はナンセンスなものなど笑える絵本が多いのですが、どんな爆笑絵本にもまったく反応しない、全く笑わない子が毎回必ず一人か二人いるということに気づいたのです。みんなは笑っているのに、「ここ笑っていいの?」という顔で親の反応を窺ってるんです。よくよく見ると、その笑わない子の後ろにいる父親と母親も、やっぱり笑ってないんですね。きっと、この子は家の中で“笑い”を学んでいないのでは、と思いました。
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