映画「うまれる」企画・監督 豪田 トモさん【その2】

対談
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ワークライフバランスインタビュー

豪田 トモさん

「うまれることの奇跡、親になることの幸せを伝えたい」

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映画「うまれる」企画・監督
豪田 トモさん

子育てについて~「育児は二人でやってちょうどいい」~

高橋
先ほどから豪田さんの様子を拝見していて、本当に子育てを楽しんでいらっしゃるように感じますが、家事育児に関しては、奥様と協力してやっていらっしゃるのですか?
豪田
それは牛山に訊いたほうがいいですよ(笑)
牛山
すごく協力してくれています。うちでは世の中でいう「分担」ということはやってないですね。その時々でやれる人がやる。分担を決めてしまうと、できなかったときに責める感情が生まれてしまうけど、 やることを特に決めないと、“こんなことまでやってくれてありがとう”という気持ちになるんですよ(笑)
高橋
子育てが一人で大変だと思ったり、孤独感を感じたりしたことはないでしょ?
牛山
それはないですね、ありがたいことに。でも世間の多くのママ達は、一人でたいへんな思いをされているのでは。子育てって、一人ではつらいと思うんですよ、ほんとうに。
豪田
そう、子供が生まれて初めてわかったのですが、育児は二人でやってちょうどいいですね!
まず、お風呂に入れることがこんなに大変だとは思いませんでした。6㎏の子供を一人で入れるのは僕でも大変。最初の頃は裸になったり、湯船につかったりしただけで大泣きされて、ちょっと戸惑いました。娘のことは心から愛していますが、泣き止まないとイライラしてしまう時があるのは否定できないし、ずっと抱っこしているのは重くてツラい…。ゆっくりお風呂にも入れない、ご飯も味わって食べられない、抱っこ紐に入れていたらトイレにすらいけない。でも、夫婦交代でやれば、食事も入浴もゆっくりできるありがたさが改めてわかるんですよ(笑)。パートナーに対する感謝の気持ちも出てきますし、互いにちょっとした気分転換や休憩ができるので、心機一転頑張れるという毎日続いて、そのうちに育児の良い面しか見えなくなってきました。やはり協力し合うことが一番大切なことだと思います。
高橋
たしかにそうですよね。これからのパパたちは、自分の環境の中で、少しでも育児に参加する工夫や努力をしてほしいですよね。ママ一人の育児では、どうしてもストレスが溜まってしまいますから…。うちの会社では、子供がいる男性社員には、育児に時間を費やせるようになるべく必要な休みは取れるようにしています。
牛山
それはすばらしいですね、そんな企業が日本でもどんどん増えてほしいと思います。

ハッピーライフバランスの秘訣~どんな時も家庭を第一に考えること~

高橋
豪田さんのハッピーライフバランスの秘訣は何ですか?
豪田
そうですね、なんでしょう……“友達を減らすこと!”でしょうか(笑)
高橋
それは新しい考え方ですね(笑)
豪田
まあそれは冗談ですが、でも実際に、子供が生まれたら人に会う時間は減りますよね。それまでの交友関係、たとえば週に2~3日の会食や“お付き合い”を続けながら育児をすることは無理だと思います。どちらが大切かを考えたら、友達に嫌われても仕方がない(笑)。
娘が生まれてから2か月になりますが、まだ一度も飲みには行ってないです(笑)。
牛山
仕事と育児、そもそも比較できるものではないんですよね。家族がいて、そのうえで仕事が成り立つということを、彼は気付いたんだと思います。
私たちは“私公混同”と言っているのですが、プライベートと仕事は分けないほうが幸せだという考え。両者を分けることなく、価値観を共有しながら、ともに創り上げていけることが一番だと感じています。
高橋
それこそがハッピーライフバランスですね?!
豪田
昔の自分なら、やりたい仕事があったら、家族を犠牲にしてでもやっていたと思いますが、いまは家族を犠牲にするのだったらやらない、そのことは自分の中で明確になりました。そう考えるようになったのは、「うまれる」を製作したからだと思います。
高橋
ではそんな豪田さんから、世の中のこれからパパになろうとしている人たちにメッセージをお願いできますか。
豪田
そうですね、僕なんかが言うのはおこがましいのですが、“パパになることは最高!”とお伝えできればと思います。取材や撮影でいろいろな家族を見てきて、育児が楽しいことは何となくわかっていたのですが、いやー、実際は思っていた以上に楽しいし、幸せですね(笑)38年生きてきて、ようやく「本当の幸せ」を発見した気分です。
高橋
それはすごく素敵ですね。パパになって何が一番“最高”でした?
豪田
月並みですが、娘が自分を見て笑ってくれる時です。何だろう、うまく説明できないんですが、笑顔ってこんなにも人の心を癒してくれるものなのかと、改めて実感しました。まだ生まれて2か月なのに、ほんとうによく笑うんです。その笑顔が見たくて、育児も仕事も頑張れるんですよね。
もう一つ、父親になって嬉しかったことは、未来が見えたことです。この子が成長していく過程、今後30年間の未来がぱっと開けたというか、3D化する感じがしたんですよね。保育園に通ったり、運動会で一生懸命走っていたり、小学校に入学したり、テストで100点を取ったり・・・今まで平面的だった未来が、子供ができたことによって立体的になった気がします。
高橋
それはお腹に宿ったとわかったときから3D化したのですか?
豪田
そうですね、映画の中にもある「お腹に宿った時からもう産まれている」という感覚を持っていましたし、胎内記憶のようにお腹にいた時から感性があるかもと考えてみると、僕は胎内記憶に関しては基本的に「である」ではなく、「かも」というスタンスにさせてもらっています。 その方が逆に伝わる人が増えるようです。米粒くらいの大きさの時から一人の人間として尊重していたように思います(笑)。そう考えて妊娠期間を一緒に“立ち会う”と、人生が3D化し始めて、育児がさらに楽しみになりました。僕は親になる素晴らしさを人に教えてもらったことがあまりなかったけれど、それがわかった今は、父親になることがいかに素晴らしいかを、多くの人に伝えていきたいですね。パパは最高ですよ~って。
高橋
じゃあ、今回色紙に書いてもらう豪田さんのお言葉は、それになるでしょうか。
豪田
まあこういうことを言うと、“いい恰好しやがって”と男性陣からバッシングは浴びるとは思うのですが(笑)、でも言う人がいないと、父親の楽しさや大切さに気付く人が増えないですからね。声を大にして言いたい、“パパは最高ですよ!!”と。
高橋
いまの豪田さんの姿を見たら、きっと誰もが父親のすばらしさに気付くのでは。それほど家族への愛に満ち溢れた人だと思います。家庭での喜びがあるからこそ、仕事の喜びもうまれる。それを今回あらためて強く感じました。ほんとうに楽しいお話、ありがとうございました。
「うまれる」

映画『うまれる』

映画『うまれる』は、出産、死産、不妊、障害、胎内記憶などテーマに、自分たちが産まれてきた意味や家族の絆、命の大切さ、人との繋がり、そして“生きる”ことを考える、ドキュメンタリー映画です。

公式ホームページはこちら↓
http://www.umareru.jp/

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