ブラマンテ株式会社 代表取締役 田島弓子さん【その3】

対談
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ワークライフバランスインタビュー

田島 弓子さん

「一日完走! 挑戦こそ、生きる実感」

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ブラマンテ株式会社
田島 弓子さん

チャレンジできる贅沢を満喫する

“
高橋
そうやってがんばっているときに、壁にぶつかったらどうしているんですか?
田島
なにか起こったときは、瞬時に「じゃあどうしようか」と考えるんですよね。「どうしよう」とうろたえるのではなく、思考と行動を止めないように、パッと対策を考えるくせが、サラリーマン時代につきました。
高橋
大変な経験も、乗り越えれば、ありがたい経験になりますよね。じゃあ、落ち込んだりはしないんですか?
田島
落ち込むこともありますよ。そういうときは、道を歩きながら自分と対話します。数年前に母の介護をしていたときは、自分では気づかないうちに落ち込んでたことがありましたね。自分の仕事ややりたいことを置いておいて、とにかく介護に集中していましたから。娘として世話ができるのは幸せなことだと思いつつも、ときどきストンと気持ちが落ちていることがあって。
高橋
大変そうでしたよね。あのときはじめて、ベアーズの家事代行を使ってくださった。まるで、救急センターに電話するくらいの勢いで連絡が来たのを覚えています。
田島
そうだったっけ? 私、あのときもう夢中だったから、あまり覚えていないや(笑)
高橋
そこが弓子さんの財産ですよね。どんなことも、夢中で、全力投球できるところ。
田島
やっぱり私、まじめで本気なんですよね。つまらない人間だな、とも思うんですけど。
高橋
いえいえ、それが弓子さんの輝きのもとですよ。大変な時も、ご活躍されている時も、夢中で走っていらっしゃる。一生懸命なんですよね。
田島
それはやっぱり、挑戦っていうキーワードがあるからかもしれません。走っていないと気がすまないんです。母の介護を通じて、人生って自分の思った通りには進まないものだと、実感したんですよ。もちろん、理想の人生を描くことは重要だし、それに向かって行動できればベストですけれど、自分の人生が自分の都合で進められない時期もある。だからといってそこで腐らず、どんな時期でも1日1日を悔いのないように生きることが、同じくらい大事なんだと思いました。そうすると、理想には届かなかったとしても、自分の人生に満足できるんじゃないかな。
高橋
なるほど、「一日完走」という生き方ですね。
田島
そう!
本当に、1分1秒を大事にして、丁寧に生きたいと思うようになったんです。そして、仕事でもトライアスロンでも、1日のなかでどうプライオリティをつけていくか、真剣に考えるようになりました。これが、自分のマネジメントにつながるような気もしています。
本当に、悔いのない人生を送りたいんですよね。
高橋
いま、死んでも悔いはないでしょう。
田島
そうですね。それは、その瞬間、その瞬間で頑張っていたこと、そしてその方向性に対しても納得しているからですね。
高橋
これから、頑張っていきたいことはありますか? まずは、トライアスロンのタイムを縮めることでしょうか(笑)。
田島
たしかに、まずはそれですね(笑)。でも正直、いまはちょっと、将来についてはモヤモヤしているんです。
高橋
そうなんですか。ちょっと意外です。
田島
サラリーマンの時は、目の前に明確な「ニンジン」がぶらさがっていて、それを追っていけばよかった。でも、独立して自分の時間もやるべきこともコントロールできるようになったら、どれが自分のニンジンなのかわからなくなって……。
高橋
あぁ、弓子さんだけじゃなく、私たち、40代の女性はみんなモヤモヤしているんじゃないでしょうか。人生で言えば、復路、折り返しに突入しつつありますからね。でもそれが、人生のとても重要な時期だと思います。ここで、自分の夢をあきらめず、そして無理に探すこともせず、丁寧に生きることが大事なんじゃないかと。
田島
そうですよね。自分に関して言うと、もっとわがままに生きていいのかなと思うんですよ。でも、新しいことをやるには、今の仕事との流れをつくらなきゃいけない気もしていて。
高橋
流れなんて動き出せば勝手にできますよ。もう、やりたいことは弓子さんの中にあるんじゃないかな。応援しますよ、私。
田島
そうやって背中を押してくれると心強いですね。
今考えていることで言うと、20年以上習っている「茶道」を海外に広める活動や古い絵画を修復する仕事などをやってみたいんですよね。
高橋
すてきな感性! すごくいいと思います。それがきっと弓子さんのこれからの「志事」なんですよ。また、新しく挑戦していく姿を見てみたいです。
田島
うちのトライアスロンチームのスローガンが「チャレンジできる贅沢を満喫しよう」っていうんです。私、すごくこの言葉が好きなんです。
チャレンジできるというチャンスがきたことに感謝して、こわがらずに満喫してしまおう。失敗したって、むしろその経験が自分を大きくしてくれます。チャレンジさせてもらえるということは、乗り越えられると思われているということなんです。だから、いま迷っていることがある人は、思う存分挑戦してみてください。
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