ソースネクスト株式会社 専務取締役 松田 里美さん 【その2】

対談
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ワークライフバランスインタビュー

松田 里美さん

「子供を持つことを諦めないでください。子供を産み、
育てることが間違いなくあなたの仕事にも活かされます。」

第1回

ソースネクスト株式会社 専務取締役
松田 里美さん

高橋
お話をお伺いしていて思ったんですが、ソースネクストさんには若い社員も自由に発言できる社風がありそうですね。では次は『社風や風土』について教えて下さい。
松田
はい。当社ではどの役職の人が言ったとか、どういう年齢、性別の人が言ったとか、そういう視点で考えない事になってます。誰の意見でも良い。大事なのはその内容が「登用するだけの合理性があるか」、だけです。例えば、世間では「新人に企画は無理。最低下積みを5年してもらわないと。」と考える企業もあると聞きます。それは全てのケースでそうなんでしょうか。当社には携帯電話のメモリ編集ソフトがあります。我々の世代は携帯電話はただの電話であり通信手段としか考えないかも知れませんが、今の若い人達はコミュニケーションツールと考えていると思います。それを使いこなしている若い世代の人達から良いアイデアが出てくる可能性はとても高いと思います。大切なのは内容で、年齢じゃないですよね。なのに、頭ごなしに「若い奴は黙ってろ!」と言われるのなら、それは合理性に欠けています。それは企業としても損な事です。
高橋
全くその通りですね。昇進などに男女の差別が残っている企業もありますし、本当に勿体無いですよね。
松田
そうそう!!“女の子はスグに泣いちゃうから”とかって一括りにするけど、全部がそうとは限らないじゃないですか。そうじゃない人だっているのは認めて欲しいですよね。ソースネクストでは性別も年齢も学歴も関係ありません。入社したら対等に扱います。大事なのはどれだけ会社の方針をよく理解し成果をあげられるかというこの一点につきます。もちろん評価や昇進も性別による差別はありません。
高橋
まずは合理的に!何が正しいのかをシンプルに考える!ですね。文化を感じる企業です。
松田
社風づくりには気を遣っています。よくあるじゃないですか、オープンな社風などとうたわれながら、実際は会議で若い人が話すと黙れといわれるとか。スローガンも大事ですけど、実際どうなのか、それを達成するためにはどうオペレーションするのか、がとても大切だし、難しい。そういう社風づくりこそが大事だと思います。正しい事を決め、正しい事を実行できる社風ができれば、それが生産性に繋がり会社の発展にもなるのだと思います。
高橋
本当に素晴らしいです。そういう制度や社風づくりの一環としてベアーズの法人会員にもなって頂いた訳ですね。
松田
法人会員になっても無駄なコストは掛かりませんし、利用してみようかと(笑)
高橋
その文化の中に、従業員それぞれの家庭生活や育児などのプライベートもある訳で、仕事とのバランスも考えていかないといけないですよね。ではそういった『育児支援や生活支援』について教えて下さい。
松田
育児支援の前に、いま少子化が問題になっていますよね。これって凄く深刻な問題だと思います。子供ができないと次の世代も育たないし、それ以前に子孫を残さないと種は滅びます。少子化は日本の国力の低下にも繋がります。昔の様に自給自足な生活なら自分が自分の食べる分だけ物をつくるという分かりやすい構造でした。が、今は分業の時代です。分かりにくいかも知れませんが、自分が何も生産しなくても何となく生きていけているのは、過去の人間の努力があったからです。それを理解して社会に労働を提供するキチンと働く人達が育たないと世の中が成立しません。人間には寿命がありますから、次の世代を育てていかないと、社会構造が崩壊してしまいます。子供を持つ、持たないかは自分の生き方の問題だけでないのです。人間であり、この社会によりそって生きている者として、誰もが次の世代に対しての責任を持って未来を考える必要があると思います。
高橋
一方、子育ては母親だけがやる訳じゃないですよね?
松田
勿論です!父親もですが、広い意味で言うと『世の中の大人全員』の仕事です。昔は家族だけでなく、隣近所や町中の人が、一緒になって子育てに参加してくれていたと思います。けど、最近は核家族化と住宅環境が変わったので、都市部分では特にそれがない。自分だけで抱えてしまったら母親は大変です。それに公の仕事が加わったら、負担は想像を絶します。それと、これだけは言っておきたいんですけど『我が子の心を育て、危険から守るのは親の一番大切で時間を掛けるべき仕事』だと思います。だけど、仕事が忙しすぎて心の余裕も無くなり、子供の心を育む大切な時期に、ぎすぎすしてしまっては子供も可哀想です。そういう事を防ぐ為にも、家事代行等のサービスを毎週1回でも利用して、心に余裕を持つ。そういうのに使うお金には価値があります。時間を買う訳ですが、そのぶん子供と遊ぶ時間ができます。そうすれば、子供に“心の栄養”を与える事もできます。
高橋
松田さんは会社のことだけでなく、本当に広い視野で物事を考えていらっしゃるんですね。尊敬します!
松田
社会も発展して欲しいですが、まずは働いている人が幸せにならないと会社も発展しません。会社が正しく発展すれば社会も発展します。
高橋
『合理性』!ですね。
松田
そうですね。
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