ワークライフバランスインタビュー
「社内改革、待ったなし。」
第3回
日本システムウエア株式会社
花咲プロジェクト
“皆の人生に花を咲かせたい”- 花咲プロジェクト 活動の成果
- 小鍛冶:
- 社員から直接メールが来て悩み事の相談を受けることもあります。それらの悩み事から新しい制度ができたこともありますよ。
- 高橋:
- 差し支えなければその内容をいくつか教えていただきたいのですが・・・。
- 小鍛冶:
- そうですね、当社の短時間勤務制度は以前であれば、小学校に入学するまでのお子様を持つ社員にしか適用されていなかったところを、社員の要望により小学校3年生までの適用としました。
- 高橋:
- 素晴らしいですね!それはどのようにしてクリアされたのですか。
- 小鍛冶:
- まずは小さなお子さんのいらっしゃる社員にヒアリングを行います。その内容を人事部に提示し、社会全体の流れとして短時間勤務制度を伸ばすべきである、当社も今、制度を改定しなければ貴重な人材がこの3月に3名退職してしまう・・・と。
- 高橋:
- 直接訴えていくわけですね。
- 小鍛冶:
- そうです。データ、社会情勢、他社様の動きを見て具体的な提示をしていきます。 さらに制度を改定した場合、その制度の需要の有無の確認、デメリットへの対策も当然行います。
- 高橋:
- 男性社員からのエールなどはありますか?
- 小鍛冶:
- 花咲プロジェクトは女性社員だけではなくて、男性社員も育児休業を取る風土を定着させようと考えています。その取り組みの一つとして、当社では毎年1人、男性で育児休業を取得した社員をロールモデルとして社内報で紹介しています。大手では制度は整っていますが、実際に男性が育児休業をとることは難しいようです。ですから、IT業界では珍しい実例だと思います。そういった取り組みを見て、男性社員もNSWは育児を応援してくれる企業であるということ、そういう風土が育ちつつある企業であることを感じているようです。実際、育児をしながらでも仕事ができる企業なんだな、という反響がありました。
- 高橋:
- 変革を積極的にアピールしていくことも、企業風土作りでは重要なことですね。ちなみに花咲プロジェクトに男性社員の方からの相談はあるのでしょうか?
- 望月:
- そうですね、例えば数年前に「育児休業をとりたいのだけど、制度の使い方が分からない。どうしたらよいか」という質問がありました。結果的にはこの男性社員は3ヶ月の育児休業を取得して、現在は復帰しております。
- 小鍛冶:
- 制度の使い方を周知するために、今年の2月には「両立支援ハンドブック」を作り、全社員に配布しています。
- 高橋:
- 長期の育児休業を取得した場合、復帰に不安を感じる方が多いようなのですが、そのために取り組まれていることはありますか?
- 小鍛冶:
- はい。自宅での通信教育、会社のお知らせをメールで送信、専用のインターネット掲示板で不安や育児のことを相談できる環境を現在整えています。
- 高橋:
- それでは実際に育児休業中の望月さんにお聞きします。仕事から離れて職場復帰への不安はありますか。
- 望月:
- 正直ありますね。復帰プログラムを早く入れてくれと小鍛冶にお願いしたり、自分でも資格専門学校に申込をしたりします。新聞、TVを見ていても会社のことが気になってしまってしまいますね。このようなことが無くなり、気持ちまで完全に会社から離れてしまうと復帰はできないんじゃないかと思ってしまうこともあります。早く会社に戻りたいという気持ちもありますが、我が子の可愛さをかみしめながら(笑)少しでも長く一緒にいたい一方、早く復帰しないと、と焦る気持ちのバランスを考えると、弊社にも1日も早く在宅勤務を導入してほしいです。
- 高橋:
- そうするとこれから花咲プロジェクトでは、“働き方の多様化が課題”になってきそうですね。
- 小鍛冶:
- ですが、社員が1800人もいればなかなか追いつかないというのが実状です。社内報にも必ず花咲プロジェクトと制度改定の記事をのせて、目のふれるところに意識をもっていただこうと思ってやっているのですけど・・・。
- 高橋:
- では現在山梨で勤務してらっしゃる三品さんは、それについてどのように感じてらっしゃいますか。
- 三品:
- 山梨ITセンターでは、これから結婚、また現在子育て中というメンバーが多いので、少しでも制度を知ってもらうために社内での会話の際にも、花咲プロジェクトの活動や両立支援ハンドブックについて積極的に話すようにしています。知らなければどんなに制度が整っていっても、利用されず意味がなくなってしまいますので、社員間でのコミュニケーションを大切にしています。
- 高橋:
- 花咲プロジェクトがこういった活動を行ってきたこの3年間で状況は変わってきましたか。
- 高瀬:
- 結婚した同僚などからプライベートな話でも環境が良くなったね、といった声はよく聞きますので、花咲プロジェクトの活動によって確実に働きやすい会社に変わっているという実感があります。
- 高橋:
- そうですか。このように女性が仕事面で将来に明るい希望を持つということは、今までの日本企業、特に一般的に女性社員の少ないIT業界では、ほぼ無かったことではないでしょうか。 それを実現するプロジェクトを立ち上げられた望月さんはどのようなご苦労をなさったのですか。
- 望月:
- そうですね、例えば、「育児休業等の制度改定は、女性を悪い意味でひいきするものではないか。女子社員は結婚したら会社を辞めるものだ。」というお言葉を頂いたことがあります。そのとき自分のやろうとしていることの壁の高さを感じ、この固定観念を打ち破るためにどう行動すべきかとても迷いました。そんな中、当時私の上司であった女性から「プロジェクトを立ち上げ、その壁を破りなさい」とのアドバイスを受け、そこから花咲プロジェクトの、企業風土を変えていく活動が始まったのです。
- 高橋:
- その上司の方の努力、志、熱意に共感をされたんですね。そのころに『花咲プロジェクト』と命名されたのはどなたなのでしょうか。
- 望月:
- 私です。 “皆の人生に花を咲かせたい”と考えて、『花咲プロジェクト』と名付けました。あと数字に表しやすかったからですね。「8739(ハナサク)・・・」色々と使えるんですよ。(笑)
望月さんと優花(ゆうか)ちゃん。望月さんの理想の企業像は社員全員が「自分の子供を入れたい」と思うような会社。自分の子供を幸せにしたい気持ちも社内制度改革への情熱に関わっています。