日本オリンピック委員会理事 荒木田 裕子さん【その3】

対談
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ワークライフバランスインタビュー

荒木田 裕子さん

「夢を常に持ち続け、それを追っていくことが人生の楽しみ」

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日本オリンピック委員会理事
荒木田 裕子さん

仕事もプライベートもすべてスポーツ。私の人生まるごとスポーツです!

高橋
荒木田さんはワークライフバランスをどのようになさっていらっしゃいますか?
荒木田
何もしていません(笑)。私ね、スポーツがまるごと日常生活なので、仕事とプライベートのバランスを保つとか、そういうことは特にないんですよ。
高橋
じつは私もそうなんです。バランスを保つというと、頑張らなきゃいけない意味合いが含まれてしまいますよね。仕事もプライベートも特に境目がない私の感覚としてはちょっと違うなと思っているのです。
生意気ながら私が作った言葉で、“人生まるごと愛してる”というものがあるのですが、荒木田さんがおっしゃった“まるごとスポーツ”ということと同じですよね?
荒木田
そうそう、私は人生まるごとスポーツなんですよ。ただこうなるまでに紆余曲折はありました。バレーボールから離れようとか、ドイツ語の通訳になろうとか、ああいう仕事もこういう仕事もやってみたいとか、いろいろ考えて。でも実際、一番居心地が良くて一番自信を持ってやっていけるのは、やっぱりずっとやってきたバレーボールの世界、スポーツの世界だったんですよね。それに、日本の女子バレーがどんどん弱くなって、世界の中で注目されなくなってきた状況を寂しく思い、それでバレーボール界に戻ってきたというところもあります。まあ、私は結局ここに戻ってくる運命だったのでしょう。
高橋
ところで、荒木田さんのように社会で活躍する女性が増えていますが、社会で働く女性に対して何かエールをお願いできますか?
荒木田
んー、そうですね、じつは私ね、“女性だから”と言われるのがすごく嫌なんです。やはり女性でも働こうと思ったら働かなきゃいけないと思う。それにはもちろん家族の協力も必要だし、時間のやりくりをするのは大変だと思いますが、社会と離れずにいることは大切なこと。たとえ出産や子育てで仕事を辞めたとしても、社会と接点を持ち続けるために、自分が社会の一構成員として自信を持って生きていける何か…わかりやすいところでは資格でしょうか、それを身につけておく努力は必要かもしれないですね。
高橋
たしかにその通りだと思います。私は日々思うのですが、女性でも社会性やリーダーシップマインドを持って仕事をしているほうが、日常がより楽しくなるはずだと感じています。自分は女性だからとか、ただの平社員だからとか、使われている立場だからとかじゃなくて、自分が常にいい意味で主役でいれば、責任こそ大きくなりますが、それだけやりがいがでてくるはず。リーダーシップマインドを持つことが、幸せになるための一つの道だと思っています。
荒木田
ほんとうにそうですね。それにね、私の場合で言えば、なぜ今の仕事を一生懸命やっているかというと、選手にありがとうと言われることが何より嬉しいから、そして、勝敗がついて喜んだり悲しんだりしている彼らの姿を見ると、「こうしてあげよう、ああしてあげよう」という気持ちになるからです。アスリートのためにと言うとかっこよくなり過ぎてしまいますが、アスリートの喜ぶ顔が見たいだけ。それってどの仕事も同じですよね。どの仕事も根本にあるのは、誰かにありがとうと言ってもらいたい、という気持ちじゃないかな。人に感謝されることが、自分の力になっていくんですよね。
高橋
そう、まさに私が日々思っていることを荒木田さんが代弁してくださったように思います。さて最後に、荒木田さんの座右の銘をお教えいただけますか?どういうお言葉を色紙に書いてくださるのか、すごく楽しみ。
荒木田
じゃあ、「夢を追って」にしますね。
夢を常に持ち続け、それを追っていくことが人生の楽しみであり、素晴らしさだと思っていますから。
高橋
夢を追い続けて輝いていらっしゃる荒木田さんをそのまま表現するようなお言葉ですね。
いつもハツラツとしていて、アスリート達を愛情深く見守りながら、スポーツとともに人間としても成長できるように優しく導いていらっしゃる。まさに母のような大きな存在の荒木田さんは、とてもかっこいいです!
今日は、女性から見ても惚れ惚れとしてしまうような素敵なお話、本当にありがとうございました。

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