ワークライフバランスインタビュー
「人との出会いが、私を本気にさせてくれる。」
第21回
株式会社リクルート エグゼクティブ エージェント
エグゼクティブコンサルタント
森本 千賀子さん
「WILL」「MUST」」「CAN」を意識して働く
- 高橋:
最近出された『HONKI SWITCH ON 本気になれば人生が変わる!』という本。この表紙、すごくカッコいいですよね。どういう内容なんですか。
- 森本:
- 私はよく、なんでいつもこんなに元気でポジティブなの? と聞かれるんですね。その理由は、私は常に、何に対しても、本気で向き合うからだと思っているんです。その本気になるための「スイッチ」の押し方についての実例や、経営者や転職者が、本気スイッチを見つけて人生が変わった体験談などを書きました。部下やプロジェクトメンバーに、どうしたら本気になってもらえるかというメソッドなども入っています。
- 高橋:
- 千賀ちゃん自身は、本気スイッチは入りっぱなしなの?
- 森本:
- そんなことないですよ(笑)。「本気」になるって、何かに対して、アドレナリンがガーッと分泌されて、時間も忘れ、疲れも知らず、そのことに対して夢中になれるってことなんですよね。
- 高橋:
- 恋愛みたいなものですね。
- 森本:
- そうです! まさに恋愛です。本気の恋、本気の仕事。
- 高橋:
- 仕事に恋しているようなものですもんね。
- 森本:
- そうなんですよね。本気スイッチについて書いてわかったのは、私はたくさんお金が稼げるとか、素敵な服が着られるとか、そういうことではなく、やはり「人」からきっかけをもらっているんです。人との接点で化学反応が起きて、自分の中のスイッチが押される。人との出会いが私を本気にさせてくれるんです。
- 高橋:
- いいですねえ。千賀ちゃんは、マネージャーも経験して、部下もたくさんいると思うんだけれど、本気で働くためには何が必要だと後輩に教えているの? 例えば、私はいつも、愛と感謝が大事だと伝えているのだけど。
- 森本:
- 基本的には「3つの意識を持ちなさい」と伝えています。自分のやりたいこと「WILL」、社会人
・組織人としてやるべきこと「MUST」、持っているスキルや資質など自分ができること「CAN」の3つです。この3つがリンクする面積が大きければ大きいほど、ストレスを感じずにいられると思うんですよ。だから、できるだけ重なりが大きくなるように考えてみて、と言っています。 - 高橋:
- それは、求職者の方に対するアドバイスにもつながりそうですね。
- 森本:
- まさにそうです。相談に来られた方が、3つのバランスをとれるような提案を心がけています。WILLが強いけれどCANが足りないとすると、WILLのために能力や経験値をどう上げていくか、それが両方叶えられる組織はないか一緒に探していくのです。
- 高橋:
- 千賀ちゃん自身は、その3つのバランスで悩むことはないんですか?
- 森本:
- 仕事においてはこの3つのバランスがとれていると思いますが、唯一葛藤があるとするなら、母親としての責務と仕事をどちらもまっとうしようとすると、時間が足りないというところですね。
- 高橋:
- 『No.1営業ウーマンの「朝3時起き」でトリプルハッピーに生きる本』という書籍も出されていますけど、朝3時に起きて……。
- 森本:
- なるべく葛藤を減らせるように、朝の時間を活用して折り合いをつけているんです。時間管理やセルフコントロールをすることで、仕事としてやりたいことも、育児も、自分が納得できるスタイルを保っています。
- 高橋:
- お子さんにしてあげたいことって、何ですか?
- 森本:
私以外でもできることは、ベアーズさんに週1でお掃除を頼むなど、いわゆる外部の方の力を借り頼ればいいと思うんです。でも、夕飯を食べる、お風呂に入る、あとは一緒に寝てあげることなどは、なるべく一緒にしたいですね。私が小さい時、母が忙しくてひとりで寝なければいけなかったのが、すごく寂しかったんです。だから、10分でも、20分でもいいから、寝る前に絵本を読んで、長男・次男と3人で時間を共有しようと心がけています。このふれあいは、とにかく大事にしたいんです。
- 高橋:
- すごいですねえ。仕事も、子どもとのスキンシップも大事にして、スーパーウーマンですね。一般的には驚かれる発言かもしれないけど、育児と仕事で葛藤したことないんです。
- 森本:
- それはそれですごいことですよ。
- 高橋:
- 1回だけ、小学1年で息子が髄膜炎にかかった疑いがあると言われた時は、迷いました。けっきょく息子は髄膜炎ではなくて、2日目には熱も下がったんです。でも、私が仕事し過ぎだから病気になったんだと、一晩中泣いて、仕事を辞めようと思ったんですよ。
- 森本:
- 変調に気づけなかった自分のせいだ、と思ったんですね。
- 高橋:
- でも「ママ、仕事辞めようかと思う」と言ったら、息子にすごく怒られました。「一度始めたことは最後までがんばろうって僕にいつも言うのに、ママにそんなに簡単に辞められたら困るよ」って。
- 森本:
- すごい!!
- 高橋:
- それ以来、じゃあ迷わず背中を見せていこう、と思ったんですよね。