ワークライフバランスインタビュー

「人との出会いが、私を本気にさせてくれる」
第21回
株式会社リクルート エグゼクティブ エージェント
エグゼクティブコンサルタント
森本 千賀子さん
マネジメントも、フルタイム勤務も、怖気づかずにチャレンジを
- 高橋:
母になったことが、仕事に活かされていると思うことはありますか? 女性がキャリアを紡いでいく上で、母になってよかったポイントがあれば知りたいです。- 森本:
- これは私の仕事柄かもしれませんが、損得に関係なく、子どもたちの幸せを願うような気持ちで、目の前の相談者の方に接することができるようになりました。転職相談も仕事なので、ビジネスの観点から見ると、転職が決まりやすいかどうかで優先順位をつけてしまいがちです。でもそうではなく、目の前にいる方に、その方にとってベストな選択や気付きを、私と接点を持っている時間で、できるだけ得ていただきたいと思っています。
- 高橋:
- 最後に、今後の展望を聞かせてください。
- 森本:
- リクルートの社内でも、この20年でワーキングマザーは増えました。でも、みんな時短勤務に切り替えて、キャリアがストップしてしまうんですよね。フルタイムで、総合職で仕事を続けるメンバーはすごく少ない。でも、できるだけキャリアを妥協することなく、継続して成長を積み上げていくことはできるはずです。私も、両親が近くに住んでいるわけでもないし、恵まれたサポート環境があるわけではないんですよ。でも、ベアーズさんや友人、ご近所の方など、外部の手を借りてここまで続けられている。だから、誰でもできることだと思ってるんです。そういうメッセージを、本や講演で発信し続けたいと思っています。
- 高橋:
- 大事なことですね。
- 森本:
- もう一つは、この仕事をしていて感じることなんですが、社会人になってから、自分のやりたいことが見つかったり、見つからずに迷う状況を変えていきたい。中学生くらいから、自分の将来設計を意識できるようなキャリア教育が必要だと思うんです。
- 高橋:
- 一度きりの人生ですもんね。
- 森本:
- 法学部で法律の勉強をしたけれど、まったく関係ない仕事についているという人も多いですよね。無駄だとは言いませんが、もったいないと思うんです。自分のやってきたことが、キャリアのベクトルとリンクしてつながるといいですよね。そのために、そもそも世の中にはどういう職業があるか教えていくなどの活動を考えています。
- 高橋:
- 村上龍さんの『13歳のハローワーク』みたいな感じでしょうか。
- 森本:
- そうです、そうです。自分たちの生活に、どういう会社やどういう仕事が関わっているかを、中学生くらいから知っておけるといいと思うんです。そういうキャリア教育を導入するために、全国の小中学校をまわる全国行脚がしたいです。
- 高橋:
- それは業務としてではなく?
- 森本:
- そう!
ライフワークとして、ボランティアでやりたいですね。それによって、将来の夢を、漠然とした非現実なものではなく、ある程度、実現可能なものイメージできるようになってくれるといいなと。 - 高橋:
- それはすごく素敵な活動ですね。では、最後に、働く女性へのメッセージを。
- 森本:
- 女性って、今まで経験してきたことや、持っているスキルが活かせることだと自信を持って「私、やります!」といえるんですが、未経験の領域や、自分の能力を超えるミッションが課された瞬間に、怖気づいてしまう方が多いんですよね。
- 高橋:
- 一歩を踏み出してほしいんですね。
- 森本:
そうしたら、意外と簡単に達成できたり、経験したことのないおもしろさが味わえたりするはずです。失敗しても、誰かがフォローしてくれます。それに対して、いつか恩返しすればいいんです。成長は、チャレンジする勇気を持っている人が得られる特権なので、まずはやってみてほしいと思います。