セゾン投信株式会社 代表取締役社長 中野晴啓さん【その3】

対談
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ワークライフバランスインタビュー

中野晴啓さん

今の社会、次の社会を良くするために、“長喜投思”のバトンをつなぐ

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セゾン投信株式会社 代表取締役社長
中野晴啓さん

次の世代のためにがんばれば、“Happyリターン”がある

高橋
セゾン投信の会員の方って、現在どれくらいいらっしゃるんですか?
中野
6月に9万人を超えました。毎月2000人以上お客様が増え続けているので、10万人ももうすぐです。
高橋
そんなにいらっしゃるんですか!
中野
9万人といっても、まだまだだと思っています。この日本に住む生活者が持っているお金って、じつはすごいんですよ。日本全国1億2700万人の預貯金を全部合わせると、890兆円になります。これって、日本のGDPの1.6倍なんです。国の経済規模よりも、僕らが持っているお金のほうが圧倒的に多い。これっておかしいと思いませんか。そのお金を預貯金にまわしているということは、昼寝させているとことと同じです。
高橋
昼寝!もったいないですね。
中野
お金というのは、基本的に新しい富を生み出すために、働きたがっているものなんです。そこではじめて、存在意義が出るわけですから。昼寝させているお金を、1〜2割でもいいからみんなで意識して、元気に働かせる方向に動かしていきましょうよと呼びかけたい。そのお金をみんなの幸せや笑顔をつくる、本当の意味での投資にまわせば、それだけで日本経済は元気になりますよ。それを実現するためにいま僕らはがんばっているんです。
高橋
私達みんなが関係していることなんですね。
中野
この世界に生きている、一人ひとりが経済の主役なんですよ。500兆円の日本の経済は、1億2700万人全員の生活の合計から成り立っています。国から何かをしてもらうのを待つのではなく、経済を活性化させたいのなら、自ら与える方にまわることが必要です。
高橋
では、中野さん個人が幸せに生きていくために、気をつけていることはなんですか?
中野
自分は世の中に何を与えているか、を自問自答することでしょうか。ありがとうと言ってもらえた、笑顔になってもらえた、そういったことが、自分の人生の養分だと思っています。世の中の人に自分がどれだけのものを与えられたか、ということが実感できたときに、生きがいを感じます。
高橋
私、中野さんに出会ったその日にも、同じ言葉を聞きました。
中野
えっ、本当ですか!?
高橋
本当です。「なのに僕は、いまの自分の仕事が嫌いなんだ」とおっしゃっていました。
中野
そんな泣き言を、初対面のゆきさんに言ってたんですか(笑)。
高橋
はい(笑)。それで、「自分が生きがいだと思うことをやれている高橋ゆきを、僕は全力で応援する」と言ってくださったんです。もう、なんて素敵な人だろうと思いました。
中野
それは本心ですね。自分が何も与える側になれていないことが、一番嫌だった時期だったんです。小さいながらも夢を持って、がんばる女性をとことん支えて、その人たちが元気で働けるベースをつくっていたゆきさんたちは、すばらしいと思いました。
高橋
夢と志しかなかったですからね(笑)。
中野
一番生きがいを感じるのって、本当に自分が誰かの役に立っているときですよね。それを仕事で感じられることが、最高の幸せだと思っています。そして、それをたくさん感じられた結果、ビジネスでは利益を生む。自分の人生は常に社会とつながっているものなんです。もっと根本的に考えると、人は何のために生きているのか、ということです。
高橋
テーマが壮大になってきました。
中野
僕は、人はなんのために存在しているのかというと、次の世代に幸せを残していくためだと思っています。
高橋
私達が毎日を丁寧に生きていかないと、その先の世代に影響が出てきてしまうかもしれない、とは考えますね。
中野
それって、未来への責任ということなんです。自分のためでなく、次の世代のために今の自分がいる。そもそも、自分が今こうやって生きていられるのは、前の世代の人たちががんばって素敵な社会をつくってくれたからですよね。このつながりで、世の中というのは続いていくものなんだと思うんです。
高橋
“長喜投思”のバトンですね。
中野
そう、投資は世代をつなぐバトンなんです。次の世代のために一生懸命活動すれば、この社会でちゃんとお礼が返ってくる。それは、当たり前のことだと思います。
高橋
“Happyリターン”がある、と。
中野
仕事って、世の中の人達にありがとうといってもらいたいからがんばるものだと、僕は思います。ありがとうをたくさん生む会社は成長するんです。
高橋
そして、ありがとうをいっぱい集められる会社だけが、生き延びることができるんですね。
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