「家事手伝い」を職業にする人が激減!女性が働く理由とは?

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かつては今ほど結婚後に共働きを続ける家庭は多くなく、一度も働くことなく結婚するまで実家で「家事手伝い」をしているような女性も珍しくありませんでした。しかし、最近では「家事手伝い」を職業として名乗る女性は減っています。この記事では、その理由を深く掘り下げていくと共に、結婚してからも働く女性が増加している要因についても解説します。

1.「家事手伝い」とは?

「家事手伝い」とは、実家の家事を手伝う人、またはそれを行う人のことをいいます。特に無職の独身女性に対して使われ、略して「かじてつ」と言い換えることもあります。単に無職と言うよりも家事手伝いと言えば、外で働く必要のない裕福な家庭の女性というイメージがあるため、利便性のある言葉として使われていることもあります。

家事を行うことによって賃金をもらっている場合は「家政婦」になります。家事手伝いはあくまで未婚女性を対象にして使われる言葉であり、結婚して一切の家事を担っている専業主婦を家事手伝いと表現することはありません。ただし、双方とも「無職」に定義されることが多いという点では共通しています。

2.「家事手伝い」を名乗る女性が減った理由

「家事手伝い」を職業として名乗る女性が減った理由は、時代の変化によるものと考えられます。具体的にどのような変化が生じたのかについて詳しく説明します。

理由1.女性の社会進出が進んだ

まず、ここ数十年において、急速に女性の社会進出が進みました。男性と同様に大学まで進み、卒業後に新卒で大手企業に就職してキャリアを積む女性も急増しています。

かつて日本においては、女性は結婚したら家庭に入って家事をしながら子どもを産み育てるという風潮がありました。しかし、今では当然の権利として、自分で好きな仕事をして収入を得て自立したいと考える女性が増えています。つまり、実家で親のサポートを得ながら暮らすという家事手伝いという立場に魅力を感じる女性自体が減っているのです。

理由2.「家事手伝い」のブランド力が弱まった

次に、「家事手伝い」という立場が、かつてほど好意的に捉えられなくなったという事情もあります。結婚したら女性は家庭に入るという考えが根強かった時代は、家事手伝いは裕福な親のもとで優雅に花嫁修業をしているお嬢様というポジティブな印象にもつながっていました。

しかし、女性も働くことが当たり前になっている現代においては、むしろ「働く意志のない人」「怠惰な人」というネガティブな印象につながる場面も増えています。

また、一度も就労経験がないことで、お嬢様どころか、「世間知らず」だと思われてしまう場合もあるでしょう。特に、日本ではニートの問題が深刻化していることも、家事手伝いの立場をさらに弱くしています。家事手伝いという立場は漠然としているため、働かずに親のすねをかじっているというイメージが強いニートと同列で扱われてしまうことも多いのです。

理由3.共働きを希望する男性が増えた

家事手伝いが減ったのには、男性側の切実なニーズも関係しています。結婚後に共働きを希望しているのは女性だけではなく、以前と比べると多くの男性が共働きを望んでいます。日々ニュースでも報じられているように、経済成長率の低さや労働力不足、少子高齢化による老後の年金問題など、日本の将来は依然として不透明です。

低金利時代のため貯金をしても思うように資産が増えないという状況のほか、正社員なのになかなか給料が増えないという場合もあるでしょう。

しかし、一方で平均寿命は伸びています。そのため、結婚後にはできるだけ女性にも働いてもらって家計を支えてもらい、さらに老後の資金を貯めたいと考える男性が増えているのです。

子どもを持って教育を受けさせ習い事をさせるためには、そもそも共働きでないと立ち行かないというケースも少なくありません。加えて、経済面での安定だけでなく、働いて社会と接点を持ち続けているほうが家庭におさまるよりも女性の精神が安定すると考えている男性もいます。

理由4.「家事手伝い」では職探しで不利になる

最後に、「家事手伝い」という立場では、いざ仕事を探そうとしても不利になってしまうという問題もあります。たとえ朝から晩まで働いていたとしても家事手伝いでは職歴になりません。

該当する期間は就職活動においては「空白期間」として扱われます。空白期間のある人は、企業側からすると「なぜ働いていなかったのか」という疑問の対象になりやすく、就職市場では空白期間は長ければ長いほど不利です。

特に、一度も就労経験がない場合では、「なにか問題のある人なのか」「なにもせずにニートだったのか」というようにネガティブな印象を持たれるケースが多いでしょう。

さらに、企業にとってまったく就労経験がない人を雇うことには、「イチから社会人の基礎を教えなければならない」という大きなリスクがあります。女性の場合、家事手伝いと同列に見なされることの多い専業主婦をしていた場合も、同様に「空白期間」扱いになってしまいます。ただし、配偶者の転勤などでやむを得ず専業主婦をしていた場合であれば、空白期間があっても仕方がないと思ってもらえるケースもあるでしょう。

3.女性も仕事を持つことで得られるメリット

好きな仕事ができるというのはとても幸せなことですが、自分が満足できるという以外にも女性が仕事を持って共働きすることにはたくさんのメリットがあります。ここでは、仕事を持つことによって女性が得られる3つのメリットについて説明します。

生涯賃金が増える

女性が仕事を持つメリットの1つ目が、長期間に渡って経済的に安定することです。共働きで働くことで生涯賃金が増えるうえ、2人とも正社員であれば、厚生年金や退職金ももらえます。

生涯賃金が増えることで、子どもの教育に十分にお金をかけられる、衣食住にゆとりが生まれます。さらに、老後のお金の心配が減ることで日々安心して暮らせるでしょう。できるだけ生涯賃金を増やすコツは、夫婦ともに正社員を続けることです。

パートになってしまうと基本給も下がり、昇給額も少なくなるので年収は大幅にダウンしてしまうことが多いでしょう。状況によって異なりますが、定年まで正社員をした場合とパートの場合とでは、生涯賃金において2億円近い差が出るという試算もあります。

リスクヘッジになる

メリットの2つ目が、共働きはリスクヘッジになることです。どんなに健康や安全に気を付けて暮らしていても、急に病気になる、ケガをするというリスクは誰にでも起こり得ます。

男性だけが働いているシングルインカムの家庭の場合、たとえどんなに男性が高収入でも病気やケガによって働けなくなると、世帯収入が一気にゼロになってしまいます。さらに、そこに治療費や入院費などが加わることによって、瞬く間に家計が赤字に転じてしまう可能性もあるのです。

しかし、共働きであれば、たとえどちらかが病気になって一時的に休むという場合でも、収入が途切れなくて済みます。また、夫が先に亡くなる、一方的に離婚を切り出されたという場合にも、自分の収入があれば生活に困窮するリスクを回避できます。倒産や失業によって、どちらかが収入の糧を失ったとしても、共働きであれば今までの生活水準を大きく落とさなくて済む場合もあるでしょう。

夫婦関係が対等になる

3つ目に、共働きは夫婦関係を対等に保つうえでも有効です。女性も男性と同じように働いて収入を得ることによって、夫婦のパワーバランスを対等に保ちやすくなります。

家計を折半して経済的に支えることによって、女性側も住まい選びや乗る車など経済的に大きな決定事項から普段の家事のことで、今まで旦那さんへ伝えるのに躊躇していたことも言いやすくなり、喧嘩も減るかもしれません。

欲しいものがあれば、夫にお願いをしなくても自分の経済力で購入することもできます。また持ち家についても夫婦がそれぞれ購入資金を出し、共同名義にしやすくすることもできます。夫婦関係が対等であることは、女性の心の健全を保つうえでとても大事なことです。

4.共働きになることで起きやすい問題

ただし、女性が仕事を持つことで起きやすくなる問題もあります。共働きを長く続けていくためには起きやすい問題をあらかじめ把握し、適切な対処法を知っておくことが大事です。ここからは、多くの共働き夫婦が直面しやすい問題やその解決法について説明します。

夫婦でうまく家事育児が分担できない

まず、共働きでは、夫婦間で家事育児をバランスよく分担するのが難しい場合が多くあります。日本では、家事育児は女性の役割というイメージがまだ強く、たとえ同じように働いていても、気付くと女性側に家事育児の負担が偏っているというケースも少なくありません。

加えて、子育てと男性の働き盛りの年齢(30~40代)が重なりやすいという問題もあります。30~40代というと管理職への昇進が始まる可能性も高く、仕事の責任範囲も広がる年齢です。結果として残業や休日出勤が増えるという場合も多く、そういった家庭では、女性が担う家事育児がワンオペ状態になりがちです。

ワンオペとはワンオペレーションの略で、ひとりですべての業務をこなす状態のことです。家事育児の分担がうまくいかないと、不公平感や疲弊感から夫婦仲に亀裂が生じる可能性もあります。特に、女性も同じようにフルタイムで働き、残業や早出もこなしているという場合では、なぜ自分ばかりがこんなに大変なのかと強い不満を感じてしまっても無理はありません。

そういった状態が続くことで心身の疲れがピークに達してしまい、女性が仕事を続けるべきか悩んでしまうケースもあります。しかし、共働き家庭での家事の問題を解決する方法もあり、子どももいつまでも手がかかるわけではありません。

家族で過ごす時間が減ってしまう

次に、共働きではプライベートの時間が捻出しづらいという面もあります。朝から晩まで働いてさらに家事育児も行うとなると、睡眠時間以外のプライベートな時間を捻出するのは容易なことではありません。

フルタイムで互いに残業や休出もあるような共働き家庭では、出勤日は仕事と育児に追われ、休日にたまった家事を行うというパターンも珍しくないでしょう。体が疲れていることで、休日に時間ができても出かけるよりも家で休んでいたいということにもなりがちです。結果として、家族で食事に行ったり遊びに行ったりする時間が減ってしまうのです。

5.家事手伝いにまつわるQ&A

それでは、「家事手伝い」についてよくある質問と回答を紹介いたします。

質問1. どのような立場の人が「家事手伝い」といえるのでしょうか?
回答1. 家事手伝いと称していても、実家できっちりと炊事や洗濯、掃除などの家事を行っている人もいれば、全く何もせず親の世話を受けているだけの人もいます。また、フリーで働いていたり、アルバイトで個人収入があったりしても、実家暮らしで金銭的に親の世話になっているのであれば、家事手伝いであるということができます。つまり、正社員として働いていない独身女性が実家で親と暮らしているのであれば、どのような立場であろうとも自由に家事手伝いと名乗ることができます。

質問2. 「家事手伝い」と「ニート」との違いを教えてください。
回答2. 家事も通学もしておらず、無業者で求職活動も行っていない15歳〜34歳の人をニートと呼びます。家事手伝いの場合、定職についていない点ではニートと似ていますが、家事や介護などの家庭のことを手伝っている点でニートとは異なります。
「家事手伝い」という言葉には将来仕事や結婚をする可能性があり、前向きな意欲があると考えられます。

質問3. 結婚相談所に「家事手伝い」で登録すると印象が悪いでしょうか?
回答3. 女性が外で働くことが少なかった時代は、結婚前の女性が働かずに家にいて花嫁修業をしていることが裕福な家庭の象徴でした。そのような昔であれば家事手伝いといえば、良いイメージで婚活することができたでしょう。ですが最近は女性の社会進出が進み、健康な女性が無職でいることが少なくなってきましたので、家事手伝いと書くとなぜ無職なのかと男性に疑問を持たれるかもしれません。無職であることを隠す必要はありませんが、なぜ働いていないのかをはっきりと言えるようにしておいたほうが良い印象を与えることができます。 

質問4. 就職をする際に、履歴書に家事手伝いの期間をどう書いたらいいのでしょうか?
回答4. 家事手伝いは職歴にはならないため、家事手伝いを行っていた期間は空白期間になってしまいます。この空白期間を企業は仕事をせずに何も行っていない期間と捉える可能性があるため、ネガティブな印象を持たれることがあるかもしれません。空白期間は長期になるほど疑問に思われてしまいますので、正直に家事手伝いを行っていた期間の理由と内容説明をすることが大切です。
書き方の例としては、〇〇会社 一身上の都合により退職 退職後は祖母の介護のために家事手伝いを行うなどと具体的に書くといいでしょう。また、家事手伝いをしていた期間は、時間的に余裕があると思われることも多いので、その期間を利用して資格や免許などを取得しておくとかなり印象が良くなります。企業は空白期間がある人に対して、「すぐに退職してしまうことがないか?」を気にしますので、明確な理由で家事手伝いをしていたことを伝えることが大切です。

家事代行サービスが共働きの問題をカバーしてくれる!

家事代行のお掃除の様子

共働きには長期にわたって多くのメリットがあります。共働きによって家事・育児がの時間が十分に確保できなかったり、夫婦の時間がとれないからといって仕事を辞めてしまうのではなく、それらの問題を夫婦で話し合いながら働き続ける選択が得策と言えます。

共働きでの家事育児の分担が難しい、時間が足りないといった問題は、家事代行サービスを利用することで解決できる場合も多くあります。共働きの大きなメリットである経済的な余裕を生かし、代わりに掃除や洗濯等の家事を行ってくれる家事代行サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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