「家事は希望」——現場で響き合ったフィクションとリアル【『カフネ』座談会連載第2弾】

家事の悩み

座談会の第2部では、ベアーズの現場スタッフが登壇し、『カフネ』の世界と“いまここにある家事代行”のリアルが重なっていく時間となりました。
登壇したのは、スタッフ歴7年の丸子美奈子さん、スタッフ歴1年半の阿久津美和子さん。日々お客様の暮らしに入るプロフェッショナルとして、揺るぎない経験と言葉を届けてくださいました。

左から:『カフネ』著者阿部暁子さん:ベアーズレディ阿久津美和子・ベアーズレディ丸子美奈子・ベアーズ広報服部祥子

丸子さんが語ってくれたのは、「ちゃぶ台がつないだ家族の絆」のお話です。
かつて担当したご家庭では、食卓がなく、家族それぞれが別々の時間に食事をしていました。会話も少なく、どこか心が離れているように見えたといいます。

丸子さんは、そこで暮らすお子さんに「今日早かったね」「寒くない?」と小さな声かけを重ねました。踏み込みすぎない、でも見放さない。その“さりげない優しさ”が少しずつ家族の空気を変えていき、ある日訪れると、リビングに家族が一緒に食事をとるためのちゃぶ台が置かれていたといいます。

「その光景を見た瞬間、胸がいっぱいになりました。」
後日、「家事代行のおかげで家族がまとまりました」というお手紙が届いたとき、丸子さんは“支えているつもりで、支えられていた”ことに気づいたと語ります。

阿久津さんは、子育て中のママとして現場に立つご自身の視点から、「散らかった部屋は一生懸命生きた証」という言葉を届けてくれました。
家事代行に抵抗のある方が、よく口にするのは「きれいにしてから呼ばないと」という遠慮です。でも阿久津さんはきっぱりと「まったく片づける必要はありません」と言います。

散らかってしまうのは、怠けているからではなく、仕事や育児や介護など、毎日を必死に生きているから。
「お客様が自分の時間を取り戻すために、私たちがそばにいられたら嬉しいです。」
「家では子どもに『ごはんやだ』って言われちゃうこともあるんですけど(笑)、お客様に「おいしい」「また食べたい」と褒めていただけると、自分の居場所ができた気がするんです。」と阿久津さん。

そうした小さな“心が通う瞬間”が、家事代行という仕事の誇りであり、希望の正体なのだと教えてくれました。

阿部さんは、お二人の話を聞きながら、「現場の言葉ほど美しいものはない」と感嘆されていました。
『カフネ』が描くのは、完璧な家事ではありません。
できない日があること、頼る勇気が持てないこと、その弱さごと抱きしめ、誰かがそっと手を差し伸べるやさしさがカフネには溢れています。

「いい意味で弱くなれる社会」。
誰かに頼ることが“甘え”ではなく、“生きる力を取り戻す選択肢”として当たり前になる社会。
それこそが、カフネが描き、ベアーズが創業以来伝えたかった社会の在り方。
丸子さんと阿久津さんの言葉は、その社会が決して遠い理想ではなく、いまこの現場で少しずつ形になっていることを確かに示してくれました。

(※写真はすべて講談社提供)

第1部「ファンレターから始まった、家事のぬくもりを語る時間」はこちらから

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